ひところのように女性が電車内で化粧をする姿に対する賛否両論が飛び交う時代ではなくなったようですが、それでも社会人として自分の第一印象を決定づけてしまう「外見」に気を遣うのは当然のことです。
女性のファッションやヘアスタイルには流行があります。従って雑誌のグラビアそのままの髪型をある日を境にあちこちで見かけるということは、よくあることです。しかしそれも手入れが行き届いてこそ流行の最先端と見られるのであって、寝坊して慌てて通勤電車に乗り込んだ、といった風情では流行も何もあったものではありません。「髪は女性の命」とも言われますが、社会人として、はたまた会社の顔として、取引先など初対面の相手と相対する席で、女性の髪型は意外なほど相手の印象に残ります。それは必ずしもその人そのものというわけではなく、ただ単に「そんな感じがする」というに留まるのですが、これがネガティブであった場合に後から覆すのは至難の業なのです。従って少なくとも良い印象を持ってもらいたい局面において、自分の好印象を残すことができるような髪型を知っておくことは、決して損ではないのです。
飲食業の接客であるにもかかわらず、長い髪を束ねもせずに無造作に垂らしたままというのでは、不潔な印象を与えかねません。あるいは富裕層を担当する外商部にいながら、お下げ髪のように子供じみた印象を与えるようでは、その信用を勝ち取るのは難しくなることでしょう。一般的にはセンター分けであればクールな印象を与え、右分けであれば女性らしさ、逆に左分けであれば知的な印象を与えると言われています。アイドルなどに多い前髪ぱっつんのヘアスタイルは、おでこが隠れて幼さが強調されてしまうため、可愛らしいもののそれが許されない職種や、ある程度の年齢層では避ける方が無難かもしれません。
もっともこのように自分の髪型を、相手が受ける印象によって変えるということは、決して自分らしさを失うことではありません。会社勤めをしていれば、会社の外では会社の顔として振る舞うのは当然のことです。そして相手に好印象を与えるよう配慮するということは、あなた自身のチャンスを広げ仕事を成功させるための、ほんの小さな気遣いに過ぎないのです。それに気が付いて実行するかどうかで、その後の展開が180度変わるという時、実行しない手はないでしょう。これはむしろ社会人として大切なスキルの一つといえるかもしれません。このように髪型の与える影響を知ることによって、またそれを修正することによる応対の変化を肌で感じることによって、自分には改善の余地があり、自分がまだ手を触れていないチャンスがすぐそこにあるということを理解すればよいのです。