ネットワーク環境の整備という時、ネットワークだけを見ていれば出来るというものではありません。ネットワークそのものはもちろん、何に繋いでいるのかという部分も同じくらい大切なのです。
まずネットワークエンジニアに必要なのは、扱うネットワークを理解していることです。とはいうものの実際のところは固有のベンダーに依存することなく、IETFやIEEEやITUといった標準化機関によって規格化されているネットトワーク技術のうち、基本を理解していることが大切でしょう。これらの規格化されている技術というものは日々新たにされているとはいえ、基本的な部分は変わりません。まずはしっかりと基本を理解していれば、応用はそれほど難しいことではないのです。またコンピュータに関するスキルも必要です。ネットワークは「つながって当たり前」なのであり、その上に成り立つシステムが重要なのです。そして何らかの不具合が生じた場合に真っ先に疑われるのは、ネットワークであるという事情があるのです。またネットワークを設計したり構築する上で、システムがどのようなものなのかを意識することによって、最適なネットワークに仕上げることが可能になります。
前述のような技術的なスキルを求められるのは当然のこととしても、プロジェクトリーダーを任されるようなネットワークエンジニアには、より高い人間力が求められます。プロジェクトの開発現場には人とのコミュニケーションが欠かせないのであり、スムーズなスケジュール進行と予期せぬ事態や障害にも適切に対処するためには、調整役が必要になるものです。もちろん参加しているのはネットワークエンジニアだけではなく、それぞれの専門領域からプロが集まっているのであり、各種機器を「つなぐ」ネットワークエンジニアが、そのまま人を「つなぐ」役割を担うこともままあるのです。
そしてネットワークという特質からネットワークエンジニアには、全体がどのような状態であれば適正なのかを常に考える必要があります。異なる機器を「つなぐ」ことによって予期せぬ動作障害を引き起こしたり、円滑な通信を妨げるような自体が生じるものです。しかしそのような障害は、一見してどこに問題があるとは認識できない場合が多く、ネットワークエンジニアが知識と実務経験と勘を元に、一つ一つ可能性を排除する方法によって見極める他ないようなものが少なくないのです。従って正常な場合にはどのように動作するのかをまずはしっかりと認識した上で、異常な動作がどのようなものなのか、を地道に比較分析してゆかなければなりません。もちろん障害が発生したとなれば、それが開発現場であれクライアントの運用の場面であれ、いち早い解決を求められるのであり、大きなプレッシャーの中で対処しなければならないのです。